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代々木ゼミナールで物理の講師をしています。

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タコマ橋

皆さんと学習する、弦に生じる定常波。
これは橋やビルなどの建造物を設計するにあたって、私たちの命や安全を守るために、しっかり研究しなければならない大切な現象です。

もし皆さんが渡っている橋=川に架かる巨大な弦、に定常波が生じてしまったら恐ろしいですね。
そのような事態が、実際に起こってしまった有名な「タコマ橋」の映像です。その貴重な映像が見られる、いくつかの主なサイトを紹介いたします。

タコマ橋は、秒速53mの風にも耐えられるように設計されていましたが、たった秒速20m程度の季節風にあおられ、崩壊してしまいました。
これは、共振振動の一種「ねじれフラッタ」(周期4〜5秒、最大傾斜角約35°)という現象のためでした。
タコマ橋はその長さ(スパン長853m)に対して、道路幅や厚さが薄かったために、この共振が生じてしまったと分析されています。


大学の研究室
http://www.civeng.carleton.ca/Exhibits/Tacoma_Narrows/



ユーチューブ
 

まるで現実のものとは思えないですよね。車がおもちゃのようです。

とある本によると、車の中に取り残された子犬は、この橋を観測し続けていた、ワシントン大学のファーガソン教授が救い出したらしいですが・・・

崩壊から10年後、橋は架け替えられましたが、その時の設計者になんと元の橋で失敗した設計者が含まれていたそうです。

アメリカには「失敗者には運がなかったかもしれないが、経験はある」という言い回しがあります。
悔しい思いをしたその設計者は、リベンジをかけ、共振でで揺れないシステムを作り上げました。そのシステムは、その後の多くの長大な橋の振動軽減に貢献し、今も私たちの命を守っているのです。

失敗から何を学びとるか、その大切さがわかりますね。



オマケ
 
ニコニコ動画

皆さんそれにしても「熱心」です(照)

MUROFUSHI HANPANAITTE

 ハンマー投げというスポーツの凄さを物理計算で示してみよう。

ハンマーの質量をm=8kg,放物運動して80mの飛距離にするのに必要な初速度の大きさはおよそv=30m/s,回転半径は約r=2mとする。

1:投てきの瞬間、身体が支える遠心力の大きさF
 
 

 遠心力の大きさを表す公式より

  F=mv^2/r=3600ニュートン

 何とこれは約360キログラムのおもりを持ち上げるのに必要な力と同じであるのだ。

2:手を離す時間間隔Δt

  約30度=3.14/6radの角度以内に入れねばファールとして、そのために許される手を離すタイミングの時間間隔Δtは、角速度がω=v/r=15rad/sなので

      Δt=(3.14/6)/15=0.03s

 なんと0.03秒という人間の反射神経の限界を超えた時間間隔が要求される。

1より究極のパワーが、2より究極の繊細さが要求されるという、対極の2つの要素を兼ね備えるとんでもないスポーツなのだ。

外国人選手が軒並み150kgを超える体躯を誇るなか、100kgに満たない「小兵」の室伏選手が、その技術の粋を生かしてオリンピックで金メダル取るなど活躍していたことは半端ないことだったのだ。








 

 




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ニュートンリング

 干渉でニュートンリングというものをやりました。
レンズの隙間にできる同心円状の縞模様です。
自分で撮った写真をアップしますね。
レンズとレンズの隙間に薄ーくリングが見えますか。


ガラスどうしを密着させた隙間にもニュートンリングと同様の縞模様が出来ました。


レインボーなのはどうして?
そう、光源が白色光だからですね。中心の黒い部分の周りに並ぶ色の順も理解できますか?

いまは、反射光を見ていました。中心は黒でしたね。
今度は、蛍光灯を透かして見て、透過光を見てみます。



すると、今度は中心は白い部分が出来ました。

そう、これは、固定端型反射の数が変わり干渉条件が逆転したため明暗が入れ替わったからですね。ハイレベル物理P168、標準物理P164で扱いました。

そういえば以前、写真をカラーコピーしたときに人物の周りにオーラのようなレインボーのリングが写ってしまいました。何度やっても「オーラ」が出るのでとっても不思議でした。
しかし今思うとそれは、写真とコピー機のガラス面の間に出来た薄いすきまが、ニュートンリングを作っていただけのことだったのですね・・・

 


ウーロン茶の泡

 授業では、なかなか皆さんウーロン茶を持ち合わせてはいないので、ブログ上で実験しましょう。

シャボン玉が虹色に見える本質は、その膜の「薄さ」にあるということを扱いました。
ならば、シャボン玉でなくとも、「薄い」膜を作れるものなら、何でもレインボーになるのですね。
皆さんも身の回りの物で探してみてください。

さて、普通の水の泡は、「ぶ厚い」ので虹色には見えません。しかし、実はウーロン茶だと・・・・



何とレインボーに光っています。
これは、ウーロン茶に含まれる成分によって、「薄い」膜を作ることが出来るからですね。
みなさんもウーロン茶を飲む機会がありましたらよーく見て下さい。意外と「ケバケバしい」ですよ。


お札の科学

私たちが普段何気なく使っているお札。

その中に、物理で学ぶ仕組みが隠れています。

北海道の小樽にある旧日本銀行の展示室には、お札つまり日本銀行券のヒミツが展示されておりました。

まずは5000円札のホログラムを見て下さい







角度が変わると











干渉して強めあえる反射光の波長、つまり色が変わります。

これは反射型の回折格子と同じですね。



次は1万円札のハンコを見て下さい






ブラックライトの紫外線を浴びると赤いハンコが












オレンジ色の蛍光を発しました。








その他レンズで拡大しないと見えないマイクロ文字
1000円札のどこにあるか皆さんのお札で探して下さい。








ちなみに、これらの仕組みをまねて、1万円札の偽札を作るのにかかる費用は、30万円を下らないと言われています。
これでは誰も作る気起こりませんね。


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ロケッティア

 ブラジルの草サッカーチームには、Jリーグで十分通用する逸材がゴロゴロしていると言われています。
アマチュアサッカーのレベルの高さが、トップのブラジル代表の強さにつながっているのですね。

宇宙大国アメリカは、日本の30年先を誇る宇宙科学技術を持っています。
これは、アメリカのアマチュアロケット愛好家(ロケッティア)のレベルの高さによって維持されているのではないでしょうか。
週末になると、近所のおじさんが集まり、ロケット発射会が行われています。



「ワーオ」、「ヤーヤー」、「ヒューヒュー」等、異様な盛り上がりですね




その中にはなんと、地球が丸く見える高さまで到達するようなロケットまであるのです。






これがそのロケットに搭載したカメラから見た映像です。




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赤外線を「見る」

 可視光の波長範囲はもう覚えたよね・・・
(まだの人は今覚えて!!理系の常識ですゾ)

そう紫から赤まで

約3.8×10^(−7)〜7.7×10^(−7)m

紫より短い光を紫外線、赤より長い光を赤外線といい、我々の目には見えません。

赤外線は、私たちの生活の中であるものに使われています。
それは、テレビなどのリモコン。
リモコン先端のビーズみたいなランプから赤外線が出てくるらしいのです。




では、みなさんもお手持ちのリモコンをボタンを押しつつ、直接目でランプを見てください。
・・・・・何も見えないはずですよね。(見えたら怖いです「ガラガラヘビ君」です)

それでは次に、デジカメもしくは携帯のデジカメモードを用意して下さい。
それで同じようにランプを撮影してみると・・・・・


あれ!ランプが光って見える??


これはデジカメが「見える」波長領域が赤外線まではみ出してカバーしているためなんですね。

さて、この赤外線は、可視光同様、電磁波という波の一種ですから、反射、屈折、回折、干渉
するはずですね。
そこで、MY回折格子にリモコンを通して見ると・・・


ちゃんと干渉縞が出来ている!(もちろん、これは肉眼では見えませんよ)
目には見えなくても立派な電磁波として、干渉するんですね。
皆さんも、リモコンの赤外線を、鏡で反射、レンズで屈折させてみよう。


この世界はまだまだ我々の見えない光に満ち溢れているのですね。

ちなみに iphone では見えないようです。








 


教室での実験

 わたくしは授業で実験をして見せることがあります。

 ただし、特にサテラインの授業では映像でのみ受講されている方がいらっしゃることから、実験の様子が上手く映っていないこともあるのではと思います。

 そこで、サテライン受講の生徒さんの為に、教室で使用した回折格子で、実際に実験してみるとこんな映像になります。(これで教室にいる生徒さんが見ていたものと同じものになります)




中央の白い点が0次の明点。
その上の(明るく白みがかった)虹の帯が1次のスペクトル。
その上の(青から赤までの)虹の帯が2次のスペクトル。
そして、その上の(細くて暗く青から緑まで見える)虹が3次のスペクトルとなります。

これで、教室にいた生徒さんと同じものが実験できました。

ご確認いただけましたでしょうか。



P.S.
ハイレベル物理7回目の例題4の最後に
「白色光を回折格子に当てた時に生じるスペクトル(虹色の光の帯)について、隣り合うスペクトル同士が重なるのは何次と何次か」という設問がありました。
問題文だけでは状況が把握しづらいですね、
ここで、よく見ると2次のスペクトルの上端の太い赤と、3次のスペクトルの下端の細い青が重なっています。
これがまさに、「スペクトルが重なる」ということなのですね。
ちなみに、この回折格子には「碁盤の目」のように筋が入っていることがお分かりですか?
上下左右放射状にスペクトルが見えますから。


村山斉の宇宙をめぐる大冒険

後期がない受験生の方、お疲れ様でした。

 

しばし、気分転換に、宇宙の謎について思いを馳せてみませんか。

 

以前に、録画して試験が終わってから見ましょう、と言った、NHKの番組

 

「村山斉の宇宙をめぐる大冒険」

 

録画した人は是非見て下さい。

 

現代宇宙論の、3K背景放射、赤方偏移、ビッグバン理論、インフレーション理論、背景放射のゆらぎ、ダークマター、加速膨張、ダークエネルギー、マルチバースまで、平易な例え話で俯瞰しています。

 

その最後のマルチバースの章で、最新の理論からこんな議論が出てきたことが、興味深かったです。

 

多くの科学者がこれまで、「この宇宙はなぜ、うまくいったのか(つまり、生命そして私達が存在できたのか)」を考えてきましたが、それは意味のないことであると。

 

なぜならば、それは、例えば、宝くじに当たった人が、「なぜ自分は宝くじに当たったのだろうか、」と考えることと同じ事になってしまうからだ、というのです。

 

つまり、この宇宙は、絶え間なく生成消滅を繰り返しており、生まれる宇宙の物理的パラメータの組み合わせは10の500乗という途方もない種類にものぼるというのです。

 

その中のほとんどは「ハズレ」の(安定した銀河や星が生まれることのない)宇宙であり、残るごくごく僅かな宇宙だけが「当たり」の(生命誕生が可能な物理的パラメータを備えている)宇宙となります。

 

その「当たり」の宇宙に(当然の結果として)我々がいるだけ、というものなのです。

 

これは、この宇宙のあらゆる奇跡を「もともとそういう宇宙にいるだけだから」で片付けてしまう、衝撃的な議論であるのです。

 

 

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ダークマターを探せ

先日プラネタリウムで、ダークマターの探索についての映画上映記念会があったので行ってまいりました。

 

パンフレットと一緒に渡されたのは、ズバリ

 

「ダークマター」!!!???

 

それはともかく

 

研究者による講演会もあり興味深かったのは

 

ダークマターというのは

 

「生き別れのお母さん」

 

という話でした。

 

ダークマターがなければ星やその残骸である我々は生まれることができなかったという意味で「お母さん」

 

そして、その正体はわかっていないという意味で「生き別れ」

 

候補者を見つけては、それが否定される連続

 

未だ進行形でその探索は続いています。

 

講演者の一人、村山斉さんが質問者からのある問いかけに素直に「わかりません」と答えていたことが印象的である意味エキサイティングでした。

 

NHK総合で2月5日日曜日16:55〜17:54に「村山斉の宇宙をめぐる大冒険」が放映されます。

 

必見の内容と思います。

 

録画して、試験が終わったらご覧になってください。

 

 

 

 

 

 

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